20代平凡リーマン(ヘンリー)の米国株式投資

20代平凡リーマン(ヘンリー)の米国株式投資

20代の平凡サラリーマンが株式投資(主に米国株)に奮闘するブログです。戦績開示、個別銘柄分析など。

シティ(C)、USバンコープ(USB)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)を少額買い増し

こんにちは、ヘンリーです。

 

昨日、米銀のシティ(C)、USバンコープ(USB)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)を少額だけ購入しましたので報告します。

購入内容

 

f:id:GodoIphin:20200512224518p:plain

2020.5.11.投資内容

シティ(C):平均44.31ドルで5株

USバンコープ(USB):平均33.22ドルで2株

ウェルズ・ファーゴ(WFC):平均24.78ドルで5株

 

「今米銀かよ…」「センスねぇな…」「ウェ、ウェルズ・ファーゴ…」という声が聞こえて来そうですが、私なりの結論です。

所感

資本主義が続くと信じる限り、米銀株は割安な水準だと思います。

今回の決算で軒並み貸倒引当金を積み増して決算はよくないですが、会計マジックにより資産を圧縮しておいて将来の評価指標をよくしようとしているように見えます。

20/1から新たに施行された貸倒引当金の新基準の影響もありますが。

 

ただやはり当面の課題は新型コロナウイルスによる経済停滞が長期化することですね。

ロックダウンが解除されても実体経済が戻ってこないという声もありますし、しばらくはこの点が焦点になると見ています。

あとは、この世界が資本主義からガラッと変わってしまった時…

 

それでは。

 

目標宣言 + 2020/5/10時点 全資産公開

こんばんは、ヘンリーです。

 

私もその一人ですが、明日から本格的に仕事が再開という方も多いと思います。 このゴールデンウィークは新幹線・飛行機の利用が前年比95%減といった前例のない(残りの5%の人は何をしていたんだ?というのは置いておいて)長期連休になりました。

私も久しぶりに自分の時間が取れたので、これからの人生について考えました。主に、お金についてです。

私はいま20代後半ですが、これから結婚・住宅購入(今は賃貸)等人生のステージが上がってくるに連れ、やはり「お金」の重要性が増してくると考えたからです。

結果、1つの目標を決めました。そして、その目標を宣言し、ブログで達成までの道のりを記録することにしました。どうやら宣言して後に引けなくなると、人は目標を達成する確率が上がるようなので。

したがって本日は、明日からの社会復帰を前に、今後の目標を宣言するとともに、その目標の難易度を示すため私の全資産を公開したいと思います。

 私のプロフィール(おさらい)

改めて、私のプロフィールを述べておきます。

 

godolphin.hatenablog.com

 

年齢:20代(後半)

学歴:大学卒

年収:450万円〜550万円(残業次第。今年度はコロナで下限になりそう。)

職業:平凡サラリーマン

趣味:読書

投資歴:20歳になってからずっと

投資対象:個別株式・インデックス・投資信託・不動産(勉強中)

 

仕事は普通のサラリーマンをしています。
これと言って書くことがないのですが、投資は昔から興味がありました。大学時代にウォーレン・バフェット氏のことを知り、米国株に興味を持ち始めてそこからずっと米国株中心に投資しています。

 資産総額(現在の立ち位置)

目標を宣言する前に、立ち位置の整理として現時点の総資産を公開します。
マネーフォワードの画面を貼るくらいしか思いつかなかったので、他にもっといい方法があれば教えてください。

資産総額 

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2020.5.10.資産総額

総資産で1100万円ほどです。
コロナの前はもう少し資産があったのですが、コロナショック?で保有していた石油関連株が大ダメージを受けたのでここに落ち着いています。
世代平均がわかりませんが、平均よりは上なのではないかと思っています。

資産内訳

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2020.5.10.資産内訳

これが資産の内訳になります。2/3がキャッシュなのでちょっとキャッシュの比率が高すぎますね(笑)
キャッシュの比率が高いのは自分でも理解しているのですが、ここ数年は米国株も非常に割高だったのでなかなか買えずにキャッシュの蓄積が増えています。
コロナで暴落に近い状態になったときに買い増そうと思ったものの、買う暇もなく反発してしまったというオチです。(本当に、相場を見る目は無いです…)
ただしキャッシュがあれば選択肢は広がるので、ここから一発逆転を狙っていきます。

それでは、目標を宣言します。

今後の目標

今後の目標宣言:「 3年以内(2023.4.30まで)に資産3000万円突破」

 

今後の目標は上の通り決めました。理由らしい理由はそこまでありません。

老後2000万円問題が出たときに、世間一般の必要額が60歳で2000万円なら自分は30歳で2000万円貯めてやろうと思ったことは事実です。
ただ、調べると2000万円の根拠も怪しいし、30歳で2000万円貯めたから何になるか・何を言えるかと考えると、あまりパッとしたことが思いつかなかったんですね。

それならむしろ3年で3000万円とした方が、達成したときに「3年で資産を3倍にした男」というような肩書もつけられるし、何より自分の自信になるかなと感じたわけです。

私の目標の決め方って、いつもこんな感じなんですよね…(笑)

目標の決め方はどうであれ、目標を決めたら後はそれに向かって突っ走るだけなので、これから頑張りたいと思います。

みなさんも、暖かく見守っていただけると幸いです。

それでは。

 

ギリアド レムデシビルの供給拡大についてコメント その2

こんにちは、ヘンリーです。

 

昨日の記事で、ギリアドがレムデシビルの供給拡大についてコメントしたことを紹介しました。

そのギリアドのコメントの中に、投資家が注視しておく点があったので記事にして紹介します。

godolphin.hatenablog.com

 

 

レムデシビルを全世界に供給 その前提

ギリアドはレムデシビルを全世界へ供給すべく、生産体制を拡充させることを述べました。

その中で、非常にギリアドの意図を感じさせるフレーズがあります。

ギリアドのコメント

「ギリアドの最終目標は、各国政府と罹患者にレムデシビルを無理ない価格(affordable)で行き渡らせること。」

(原文)

Gilead’s overarching goal is to make remdesivir both accessible and affordable to governments and patients around the world, where authorized by regulatory authorities.

これは冒頭の一文。ここで注目すべき単語は、私の訳中に()付きで示したとおり、「affordable」です。
みなさんも注目されていたと思います。

私は「無理のない価格で」と訳しましたが、ケンブリッジ英英辞典によると、「affordable」とは、

「not expensive」
(高価ではない)

「able to be bought or rented by people who do not earn a lot of money」
(存分にお金を稼いでない人でも購入したり借りたり(家を想定)できる)

とあります。

すなわちギリアドがここで言いたいのは、レムデシビルは「無償ではない」が、「普通の人でも手の届く価格」ということです。

湧いてくる疑問

鋭い皆さんであれば、

「あれ?affordableということは有料なの?」

「ギリアドはレムデシビルを無償提供するのでは?」

という疑問が出てくると思います。

ギリアドがあえてaffordableという単語を使ったのはどういう意図なのでしょうか。

無償提供の数

まずはレムデシビルが無償提供なのか有料なのかということについて見ていきます。

これはギリアドの発表を見れば一目瞭然です。

investors.gilead.com

該当する箇所を引用しましょう。

As previously announced, Gilead has donated the entirety of its existing supply of finished and unfinished product to help address the urgent medical needs posed by this pandemic around the world.Assuming a 10-day treatment course, Gilead’s donation of 1.5 million individual doses of remdesivir equates to more than 140,000 treatment courses that will be provided at no cost to treat patients following potential emergency authorizations and regulatory approvals, including this EUA.

(同発表の要旨は以下で紹介中)

godolphin.hatenablog.com

はい。ここです。

「Gilead’s donation of 1.5 million individual doses of remdesivir equates to more than 140,000 treatment courses」 

→ギリアドは14万人以上の治療に相当する150万回分のレムデシビルを無償提供(寄付)する。

 

あくまでギリアドが無償提供するとしているのは、「150万回分のみ」です。

注意してほしいのは、150万人分ではありません。150万です。

レムデシビルは1回投与するだけで効果が見込めるというものではなく、今の臨床結果だと少なくとも5日(最長10日)投与すべき、とされています。

ギリアドの発表における前提は「1患者あたり10回投与する」ということなので、単純計算だと15万人分しか無償提供はありません。

(ギリアドは余裕率を見て14万人以上と書いているのだと思います。)

15万人分というと、アメリカの罹患者が130万人なので、その10分の1程度です。ただしレムデシビルは基本的に重症者に使用されます。

そしてこの15万人分のレムデシビルの配分を決めるのは、ギリアドが設置する第三者委員会です。

この15万人分のうちどれだけが日本に配分されるかは、明らかになっていません。日本に配分されたものは、国の管理で各医療機関に配られます。

www.nikkei.com

www.nikkei.com

ギリアドの意図

ギリアドはかつて、C型肝炎治療薬のハーボニーやソバルディで高価な薬価を設定し、世間から批判を浴びました。
今回は同じ轍を踏まないよう、非常に神経を尖らせているように見えます。

(参考) 

godolphin.hatenablog.com

ギリアドも営利企業ですから、利益を追求するのは当然のことです。一方でそれだけを追い求めると、世間の評判は地に落ち、厳しい視線が向けられ、株価はアウトパフォームします。

この見えづらく、複雑な世間の視線が、今のギリアドを縛っています。

今のギリアドにとって最も困るのは、世間から盲目的にレムデシビルを全患者分無償提供すると勘違いされること、です。

一市民からすると、「無償提供するといったじゃないか。この期に及んで金儲けしか頭にない。やはりギリアドはけしからん。」

となり、

投資家からすると、「なぜこの千載一遇の機会をふいにするんだ。高くても使用されるのはそれだけ価値があるからだろう。オーナーたる株主を疎かにしているのか。もうお金は出さん。」

となるからです。

 

したがって「affordable」という単語を使うことによって、 

①世間にはまず「恒久的に無償提供ではないですよ」

ということを暗に示し(特に投資家を安心させ)

②「ただし普通の人が手が出せない価格にするつもりではありません」

と市民に伝え(affordableは往々にしてプラスのニュアンスがある)

③「かといって全く利益を出さないわけではありません」

と投資家に牽制球を投げているのでしょう。

「affordable」とは、なかなかうまい単語を使ったと思います。

 

まとめると、ギリアドの意図を一言で言えば、

 「本当はレムデシビルを商用化し(レムデシビルで利益を得)て投資家に報い、株価上昇につなげたいが、その意図が見え透いたり、実際高すぎる薬価を設定したりして再び世間の批判を浴びたくない。」

だと思います。

ギリアドがレムデシビルの商用化にこだわるのは、無論ギリアドの体質的な部分もあるのでしょうが、レムデシビルの臨床試験・生産体制拡充に莫大なお金をつぎ込んだからという側面もあるでしょう。

2020 1Qカンファレンスコールにて

以上のことは、ギリアドの2020 1Qカンファレンスコールからわかります。

ギリアドはアナリストからしきりに「レムデシビルの売上・利益への貢献は?」と質問を受けましたが、「先行きは見通せないのでコメントできない」と全てスルーしました。代わりに、レムデシビルに対して投下した費用については金額を回答しています。

総じて、非常に苦しい受け答えでした。

www.fool.com

原文は以下。

(オデイCEO)

On the revenue side, it is just as Andy mentioned also and I mentioned, it's too premature. You know there's a lot of moving parts right now.

「(レムデシビルが寄与する)売上について公表するのは、アンディ(ギリアドのCFO)と私が先般言及した通りで、時期尚早でしょう。ご存知の通り、今は変数があまりにも多すぎます。

(オデイCEO)

On the expense side, Andy, I mean, obviously you had mentioned already that up to $1 billion

「(レムデシビルに投下した)支出については、アンディが言及したとおり、10億ドル(1100億円弱)です。」 

 

このあとアナリストからは「1000億円以上も使っているのに売上への貢献は不明ですか。面白いですね。」と皮肉られていました。

こうしたこともあり、ずっと無償提供するつもりはないと改めて表明したのだと思います。

また、「今回は儲けないつもりか?」と、C型肝炎薬やHIV治療薬、タミフルで大儲けした過去との比較も質問されています。

(アナリストの質問)

Gilead has generated effective returns for investors and effective return on capital from treating hepatitis C and potentially nearly eliminating hepatitis C from treating HIV and turning it into a chronic disease, and to building a really important global stockpile of antiviral for influenza. So, what's special about COVID?

「ギリアドはこれまでC型肝炎薬やHIV治療薬で素晴らしいリターンを上げてきましたし、インフルエンザ治療薬の備蓄も積み上げています。新型コロナウイルスに対しては過去のこれらと違うこと(≒ 儲けない、と解釈)をするつもりなんでしょうか?(要点のみをかなり意訳)」

(オデイCEO)

You mentioned some parallels to HIV, HCV even Tamiflu. But there's been no other time like this in the history of the planet than any of us have been alive...I guess the short answer to your question is, I don't think there is a precedent to this.

「C型肝炎他と同列に論じているのでしょうが、今回のような出来事は人類史上初めてだと思っています。質問に端的に答えるとすると、「前例のないことだ」(=だから比べられない)ということでしょうか。」

 

やはり、アナリストへの回答に少し窮していました。

ギリアドに期待すること

世界が危機的状況にある中、唯一の治療薬を持つ企業として、現時点ギリアドは臨機応変に対応していると思います。

はじめから無償提供の数は限定的であることを発表していましたが、各方面に誤解されかねないと悟ると、わざとらしくない方法でそれを示そうとしています。

 

私が一投資家として述べれば、ギリアドには今回の一件を機にますます研究開発に費用を投下してほしいと思います。

冷たく言ってしまえば、あくまでレムデシビルは「棚ぼた」です。本来はエボラ出血熱の治療薬として開発を進めてきた薬が、たまたま新型コロナウイルスに有効かもしれない、となって承認されたにすぎません。

ただしそれは、抗ウイルス薬の研究開発を続けてきたからこそストックがあったからです。今後も同様に、当初治癒を目的とした病気に対してではないけれども、別の病気に対して有効である、という薬が出てくるかもしれません。

今回の新型コロナウイルス以外にも、過去たくさんのウイルスがありました。その時も1つ1つ苦難を克服していくことで人類は前に進み、繁栄して今に至ります。

その気概を忘れずに、ビジネスを続けてほしいと思います。 

それでは。

 

広栄化学工業 レムデシビル供給の鍵を握る企業

こんにちは、ヘンリーです。

 

先般公開した記事で、レムデシビルの全世界への供給に対しボトルネックになるのは原材料ではないかという見解を示しました。 

godolphin.hatenablog.com

 

レムデシビルの原材料は広栄化学工業という日本の企業が生産しているので、本記事ではその日本企業を取り上げたいと思います。

 

 

注目の的 広栄化学工業 

www.koeichem.com

広栄化学工業は東京に本社を置く化学品製造会社です。

住友化学が半数以上の株式を保有する住友化学のグループ会社になります。

新型コロナウイルスの治療薬の原材料を生産する会社として、一躍有名になっています。

 

(ファンダメンタルズ:2019年度)

売上:183.1億円

営業利益:11.7億円

純利益:9.6億円

 

純利益率5%程度と、日本の企業からすると平均的な水準です。

この広栄化学工業が生産するレムデシビルの原材料とはどんなものなのか、確認していきます。

レムデシビルの原材料

レムデシビルは、ピロールという化合物から生産されます。

ピロールは分類上アンモニアと同じアミン類に分類されるたねめ、アンモニアの親戚のようなものと理解すれば良いと思います。

アミン類はレムデシビル以外の医薬品の原材料ともなるだけでなく、半導体や金属洗浄剤にも使われています。

製造工場は主力工場の千葉工場で、千葉工場はアミン類だけでなく、多価アルコール類、ピリジン塩基類、ピラジン類など様々な化学製品を製造しているようです。

ここでさらに注目すべきは、ピリジンでしょう。

ピリジンはレムデシビルと同じく治療薬候補として名前が上がっている「アビガン」の原材料であり、広栄化学は両医薬品の原材料を生産していることになります。

これが、広栄化学が今非常に世間の注目を浴びている理由となっています。

(参考:広栄化学工業ニュースリリース

https://www.koeichem.com/dcms_media/other/20200430release4367.pdf

注目すべき点

 広栄化学工業の銘柄分析であったり同社に投資すべきかということについては、すでに多くのブログで述べられていると思いますので、ここではあくまで投資家目線で、他の人があまり注目していない部分を取り上げたいと思います。

それは、上記ニュースリリースでの

「これら(レムデシビルの原材料ピロールとアビガンの原材料ピリジンのこと。ヘンリー注)を安定供給することを社会的責務ととらえ、「ピロール」および「ピリジン」の生産体制を強化いたしました。」

という部分です。
この背景としてギリアドから直接増産の依頼を受けたとも報じられており、全世界から注目を集めています。

まず、レムデシビルの原材料確保のため、生産体制を強化するのは非常に社会的意義があると思います。これは、誰も否定しようがないでしょう。

ギリアドにも、ビジネス以前にこの社会的意義の面は忘れてほしくありません。

(これは次の記事で詳細を書きます。)

株主=オーナーから見た疑問点?

その上で、出てくる疑問は以下、

「レムデシビルの原材料を生産するのは意義のある行為だが、このためだけに生産体制を増強して会社として問題がないのか。新型肺炎が収束すれば設備が遊休化するのではないか。」

ということです。

すでにTwitterでも議論が開始されていました。

一市民として見たときにこの疑問は義憤を感じる部分もありますが、投資家(というよりはオーナー)として見るとどうでしょうか。

自分のお金で同じことをするか?と聞かれるといくら社会的に意義のあることといえ即答はできないと思います。

少なくとも疑問を持つことはありうると思うので、この疑問に私なりの答えを出したいと思います。

私の考え

私の答えは、「全く問題なし」です。全世界のためにも、ぜひ、やってほしいと思います。 

理由はシンプルで、「中期経営計画でアミン類の能力増強投資は計画済だから」です。 

すなわち、今回の一件により急きょ決定した追加の設備投資ではない、からです。

2021年中期経営計画

www.koeichem.com

広栄化学工業は2019年に2021年に向けた中期経営計画を策定しています。

その中で2021年にかけて150億円の設備投資を計画しており、主な内容は①新マルチプラント建設②アミンプラント再構築となっています。

当然ここで注目すべきは、②のアミンプラント再構築です。

 

反応エリアを除くSAプラント全体を再構築し、抜本的な近代化を図る。

SAをスマートな近代化プラントへ生まれ変わらせ 、創出した付加価値でアミン事業の競争力を強化。

当初よりアミンプラントの再構築は計画されており、2018年度の有価証券報告書にも、以下の通り記載されています。

「今回の再構築では、主要機器の抜本的な更新を予定しており、この更新を機に、生産性向上、自動化、省力化及び安全性強化を図り、アミン事業の競争力を強化いたします。2019年度に着手し、2024年度にすべての更新が完了する予定です。」

 

したがって今回の能力増強投資は、今回の新型コロナウイルスにより1から追加で行うものではなく、当初の計画(の微修正)をベースに行われるものになるはずです。

さらに中期経営計画の設備投資規模は、3年で150億円なので、単純計算で1年50億円です。50億円というと広栄化学の売上の3割、純利益の5年分に当たります。それを3年続けるわけですから、相当、大きな額です。

これがすべてアミンプラントに向けられるわけではないでしょうが、当初計画の規模の大きさは理解いただけると思います。

なので投資家としても、今回の一件を不安視する必要はない、と私は思います。

がんばれ、広栄化学。全員で応援しましょう。

医薬品然り、半導体然り、様々な分野で縁の下の力持ちになっている日本企業の要素技術は、本当に高いんですね。

治療薬生産体制の確立へ 

 なんと言ってもレムデシビルは現在認められている唯一の治療薬になります。

これを全世界に供給することが、一刻も早く求められており、原材料供給体制の確立もも待ったなしの状態です。

ただ、同時に肝に銘じておくべきは、広栄化学もまた、すべてを1から作り出せるわけではない、ということです。ピロールは化合物である以上、それにも原材料が存在します。

今は「ピロールの原材料(原料)」から「レムデシビルの原材料」であるピロールを製造している広栄化学が注目されていますが、ピロールの原材料を供給して支えている企業も多数いるはずです。

有価証券報告書を見る限り、広栄化学の主な原材料仕入先は住友化学となっていますが、その先にも枝葉のように広がっていると理解しています。特に今回は、社内生産していた原料も購入に切り替えるようです。)

そうした企業にも、感謝の気持ちを忘れずに過ごしたいと思います。

 

 

それでは。

 

ギリアド レムデシビルの供給拡大についてコメント

こんにちは、ヘンリーです。

ちょっと諸事情により、今日も明日もお休みです。

いま世界が熱望する薬、レムデシビルを開発したギリアドが供給拡大に向けたコメントを発表しました。

(このブログ、最初は株式投資をメインにするはずが、今は8割がレムデシビル関連の記事です…)

 

ギリアド レムデシビルの供給拡大についてコメント

(原文)

www.gilead.com

(補助)

www.gilead.com

 

ギリアドのHP上で公開されていますので詳細は原文を参照いただくとして、ポイント・要旨を以下の通りまとめました。

冒頭及び重要な部分は原文付きで紹介します。

冒頭

・ギリアドの最終目標は、各国政府と罹患者にレムデシビルを無理ない価格(affordable)で行き渡らせること。

Gilead’s overarching goal is to make remdesivir both accessible and affordable to governments and patients around the world, where authorized by regulatory authorities.)

・全世界での必要性が差し迫っているため、ギリアドは以下の戦略的手段を取り、全世界にレムデシビルを行き渡らせる。

(Given the urgent needs of patients globally, the company is pursuing the following strategy to further accelerate and maximize access to remdesivir

 

戦略的手段とは

・化学/製薬会社数社と協議し、少なくとも2022年までは欧州・アジ ア・発展途上地域におけるレムデシビルの製造を無償ライセンスで行うことを検討。 

発展途上国向けのレムデシビルの製造については、インドとパキスタンジェネリック薬メーカーに長期的無償ライセンスを行うことを同社と交渉中。

発展途上国へのライセンス供与は、「The Medicines Patent Pool」(MPP= 医薬品特許プール)と議論中。

発展途上国の方々がより簡単にレムデシビルを入手できるよう、ユニセフのネットワークを活用することを検討中。

 

サプライチェーン上の懸念

・ただしレムデシビルの製造には希少な原料を複数使用する必要があり、サプライチェーンの断絶によりその希少原料の供給に影響を与えると、レムデシビルの供給量も制限されることになる。

Any disruption to the supply chain impacting these scarce raw materials and other manufacturing inputs could reduce the amount of remdesivir produced and increase the time it takes to do so. 

所感

まずは社会的使命のため、迅速にレムデシビルの供給体制を整えてほしいと思います。

ただし、レムデシビルの生産体制は拡充される一方で、ギリアドも指摘しているようにボトルネックになるのは原材料ではないかと見ています。

いくらレムデシビルの生産設備が整っても、そもそも原材料がなければ宝の持ち腐れになるわけです。

(レムデシビルの原材料はピロールという化合物で、これは日本の企業が生産しています。レムデシビルの供給に大きく関係してくるので、別の記事で紹介します。)

 

生産体制を議論する際は、完成品だけでなく原材料にも注目する。これは実際の供給だけでなく投資の際も肝に銘じておくべきです。

(これは何でも同じです。韓国(半導体で世界シェア高)に対し、日本が原材料の輸出規制を行ったときの韓国の反応を見れば明らかですね。)

 

次からの記事ではより投資色に近づき、「この発表から見えてくるギリアドの意図」「原材料供給の日本メーカー」について書こうと思います。

 

それでは。

 

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